未来家計譚

高卒 ✕ 地方会社員でもできたリアル家計管理術

コスパ以上の美徳。bistro gucchoで味わう全7品の余韻

二種電気工事士の学科試験を終えた夕暮れ。
脳のすべてを燃やし尽くしたあとの静寂に、私はフレンチの一皿でねぎらうことにしました。
選んだ舞台は、石山駅から徒歩5分──洗練と実直が同居する「bistro guccho(ビストロ グッチョ)」です。

今回はDinner Course 税込4,400円。価格の数字以上に、胸の高鳴りが先に動きます。
予約はホットペッパーグルメからすぐに完了します。フォーム上では余裕があるように見えましたが、当日は瞬く間に満席に。確実に出会うために、事前予約をおすすめします。

扉をくぐった瞬間、空気の粒子が変わります。
男性ひとりでは一瞬ためらうほどお洒落な空間──しかし、その緊張感は、置かれた器、選び抜かれたカトラリー、照明の角度に宿る「誠実な仕事ぶり」によって、すぐに安心へと変わっていきます。ここでは見栄ではなく、質が会話の主役になります。

コースは全7品(デザート込)+パン、食後に珈琲または紅茶。
結論はシンプルです。「安すぎる」──この価格に、手間と精度、そして余韻が過不足なく詰まっています。しかもランチコースは2,480円~。人気の理由は、説明ではなく体験が語ってくれます。

ここに派手な食材のマジックや変化はありません。
けれど、素直な一皿一皿は温度管理まで芯が通り、香りは静かに立ち、盛り付けはインテリアと響き合う。余白の美学が、素材の輪郭をくっきりと浮かび上がらせます。ナチュラルワインを合わせれば、会話が自然と深度を増し、時間の流れがゆっくりと上質に変わっていきます。

近隣の方なら、まずはランチからの“昼飲み”で軽やかに。
試験後の緊張を解きほぐす夜にも、日常を一段引き上げる午後にも、この店は静かな確信で寄り添ってくれます。
「頑張った自分に、丁寧なご褒美を。」──ビストロ グッチョで、その言葉に説得力を宿せます。


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季節は静かに熟す。名店「行楽庵」で凛の時間

打ち水で潤んだ石畳を踏みしめ、静謐な玄関をくぐる瞬間、景色は音を失います。滋賀でも稀少な食べログBronzeの名店「行楽庵」。胸の鼓動をひとつ整え、ランチコース7,000円に身を委ねました。

予約は電話のみです。定休は火曜日。女将さんによれば、水曜日は市場が休みのため食材の構成が変わることがあるそうです。お支払いは現金のみで、クレジットカードなどのキャッシュレス決済は対応していませんのでご注意ください。

窓辺に整然と並ぶ3卓のテーブル。奥には座敷も控え、秋晴れの光がやわらかく器の縁をなでていきます。客席は私たちと、もう一組の女性お二人。供されるタイミングまで呼吸を合わせたかのように、空間全体が一つの所作として完結していきます。
この日のコースはデザートを含め全十品。過剰な演出はなく、丁寧という言葉の本質だけが静かに積み重なっていきました。

 

三皿、心に刻まれた余韻

 

鴨と冬瓜の炊き合わせ


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端正な出汁が冬瓜の芯まで染み渡り、鴨は噛むほどに旨みの輪郭を深めます。過不足のない温度、力みのない余白。静けさの中で味わいが澄み、心まで清められるように感じました。

 

鮎の塩焼き


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骨までやわらかく、頭からがぶりといけます。子持ちの旨みがふっと広がり、旬の終わりが持つわずかな翳りまで、確かな滋味として舌に残ります。季節の句読点を、火入れと塩だけで描き切る一皿です。

 

とろろご飯と漬物


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香り高いとろろの流れに、自家製と思われる漬物が小気味よい拍子を刻みます。とりわけ奈良漬けは記憶を更新する一本。甘みと発酵の香りが美しく立ち上がり、食後の余韻を上質に締めくくってくれます。

 

学びという余白──盃を置いて味に向き合うということ

私は普段、料理と酒のペアリングまで含めて食体験を完結させます。この日はあえて盃を置き、BGMと張りつめた空気の中で、料理そのものの声に耳を澄ませました。酔いに頼らず味を最後まで受け止め切る難しさと、まだ私に残る経験の浅さを静かに知る時間となりました。
それでも、十皿は一皿ずつ誠実で、温かみがあり、食後は腹八分の軽やかさが体に心地よく残ります。「良いものを、ちょうど良く」。その感覚が翌日のコンディションまで整えてくれるように感じました。

季節は音を立てずに移ろいます。器に落ちる光と出汁の余韻、その静かな高揚を、次は人生の成熟とともに味わいたいと思います。


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ワインが進む創作中華──ビストロチャイナ蜜柑レビュー

 

草津駅から徒歩5分。ネオンの揺れる長屋の路地に、名を掲げない扉がひとつあります。中をのぞく窓もありません。必要がないのでしょう。選ぶのは、店ではなく、扉の前に立つ私たちです──「ビストロチャイナ蜜柑」。

こちらは、中華の骨格に高級和食材の知性を重ねる創作中華です。初訪問の今夜は、アラカルトで挑みます。
予約はホームページの専用フォームから。人気ゆえ、二週間先まで埋まることもしばしばです。同行者と予定をすり合わせ、その時を静かに待ちました。

当日、電車遅延。まさかの遅刻です。お詫びとして、相方に“好きな三品”の選択権を託しました。この決断が、夜の流れを変えます。

今宵は、つき出しを含む全7品の中から、心を射抜いた三皿をご紹介します。

1. つき出し5種

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視覚の予測を軽やかに裏切る五重奏です。香りの立ち上がり、食感のスイッチング──一口ごとに風景が切り替わります。ふと視線を上げると、先客はワイングラスを傾け、奥にはワインセラーが静かに呼吸をしています。名のとおり“ビストロチャイナ”の幕が上がりました。

2. 近江牛シャトーブリアン 松茸 オイスターソース炒め

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繊細で芳醇な近江牛に、松茸の香がふわりと重なります。極太もやしの力強い食感がリズムを刻み、一口で景色が明るくなるような幸福が訪れます。贅沢でありながら、どこまでも端正。満足の天井を静かに押し上げる一皿です。

3. 北海道白子入り 麻婆豆腐 土鍋仕立て

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ジューシーな挽き肉、上品に痺れる辛味。その骨格に、白子が低音のコクと余韻を与えます。麻婆の輪郭を崩さず、旨味の層だけを一段深く。土鍋の熱は終盤まで勢いを保ち、最後の一匙まで“もっと”を誘います。これは、確実にリピートしたい名作です。

カウンターの向こうでは店主が一人、中華鍋を振り続けます。無駄のない所作、立ちのぼる香り、金属が奏でるリズム。時刻は関係を失い、ただ料理だけが進行します。
やがて、お店の外まで見送ってくださる店主に「次回はコースで伺います」──そう確信を胸にお伝えしました。

扉が閉まったあとも、熱と香り、そして約束だけが静かに残ります。

秋晴れに映える「ザ・リッツ・カールトン京都」──静謐と余白を味わう、ラ・ロカンダのコースランチ

秋晴れの光が磨き上げたガラスに反射し、鴨川の静けさがそのままホテルの空気に溶け込んでいました。重厚でモダンな佇まいは、どこか張りつめた緊張感をまといます。しかし、そのハードルを越えた先には、日常がすっと遠のく“静謐”が待っています。

私がこの優美な空間に足を運べるのは、マリオット ボンヴォイ アメックス プレミアムカードを携え、ポイントという大義名分を得ているからです。過去には人生初のアフタヌーンティー、そしてジャズの生演奏に包まれたバー体験──どれも時間の密度を上げてくれる記憶になりました。

今回は、館内のイタリアン「ラ・ロカンダ」でコースランチのレビューをご紹介します。

予約は専用サイトからスムーズに手配できます。通常ランチコース「Bronzo」税込6,500円のところ、今回はオンライン予約限定で税込4,950円(平日限定)という嬉しいオファーでした。

ロビーラウンジを抜け、窓沿いの通路を進むと、静かに熱を帯びるダイニングへ。名前を告げると、バーと同じフロアの奥まったテーブルへ案内されます。薄暗がりの中、卓上だけがふわりと光を帯び、心が食事のモードに切り替わります。視線の先には、明治41年築・藤田伝三郎男爵の京都別邸「夷川邸(やかわてい)」の個室を移築した特別席。外資ホテルの洗練に、雅な“和”を呼び込む演出が見事です。

コースは、お茶菓子を含む全7品に、食後のコーヒーまたは紅茶が付きます。なかでも印象に残った3品をご紹介します。

1. 鮮魚のタルタル 黒米のサラダ 海藻ビネガー

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皿一面が小さな景色のように美しく、思わず見入ってしまいます。きりりと効いた酸味が鯛の甘みを引き立て、海藻ビネガーのミネラル感が余韻を伸ばします。

2. 十勝ハーブ牛の炭火焼き 芋のヴァリエーション セロリと柑橘のソース

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+税込3,850円で豚ローストからアップグレード。火入れは上品なレア。繊維がほろりと解け、炭の香りが旨味を包み込みます。芋の多彩な表現がテクスチャーに奥行きを与え、セロリと柑橘のソースが全体を軽やかにまとめます。

3. ホワイトコーヒームースとジェラート カカオチップス 熟成バルサミコ

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香り高いコーヒームースの甘やかさに、カカオのほろ苦さ、熟成バルサミコの酸味が重なり、立体的な満足感をもたらします。デザートで“会話”が完結する、そんな印象です。

今回、マリオットのポイントは普段JALマイルからWAONへ変換して生活費に充当していますが、この日は温存していたポイントを投じ、実質無料で食事を楽しみました。高級ホテルの空間とサービスは、非日常へと心をワープさせ、明日へのエネルギーを静かに満たしてくれます。

実は、クレジットカードは2026年5月で解約、各種引き落としの切り替えは2026年からと決めていました。しかし、この体験に触れると、決意が少し揺らぎます。──ラグジュアリーは“浪費”ではなく、人生の解像度を上げる“投資”にもなり得る。そう確かめた一日でした。


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緊張をほどくフレンチ。栗東「ラリベリュ―ル」で非日常の二時間を

扉を押した瞬間、時間がゆっくりと流れはじめます。
栗東市手原。小さなフレンチ「ラリベリュ―ル」。
華美ではない。けれど、凛としている。私は、この空気に弱いのです。

昼の提供はただひとつ──「お昼のおまかせコース」7,260円(税込)
口直しとデザートを含む全8品。珈琲または紅茶、自家製パン。
説明は簡素。ところが、皿が進むたび、世界は一段ずつ深くなる。
“本気の料理”は、言葉より前に、体温で伝わってきます。

私がこの店を愛する理由は、明瞭です。
美しい盛り付け。意表を突く組み合わせ。期待を越え続ける味。
そして何より、ご夫婦の柔らかな笑顔が、コースという檜舞台の緊張をほどいてくれます。
肩の力が抜けた時、味覚は一段と研ぎ澄まされる──私はそれを、ここで学びました。

ソムリエである奥様のワインは、香りだけで物語を運びます。
今回は持病の都合で香りを嗅ぐに留めましたが、グラスの向こうにある余韻まで確かに見えました。
次は必ず、ペアリングでその“先”を確かめに戻ります。


今日、心を奪った三皿

1. 鰆の低温グリル

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半生。ふわり。つきたての餅のような柔らかさが、舌の上で静かにほどけます。
ビーツのほのかな酸が瑞々しさを引き締め、海と大地が一枚の皿で握手をする。
「火入れ」とは技術ではなく“矜持”だと、教えられます。

2. 鹿肉とフォアグラのパイ包みf:id:h1419010482:20251108184543j:image

臭みは影も形もない。噛むほどに旨味が立ち上がり、パイの香ばしさが高音を支える。
白イチジクをソースに重ねると、甘美な転調が起きます。
ひと皿の中で、秋がゆっくり深まっていくのです。

3. 鴨肉のスパイスロースト


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厚みのある鴨が、噛むたびにスパイスのレイヤーを解放する。
ローストで甘みを引き出した玉ねぎのソースが全体を包み込み、
食欲は理性を追い越して、軽やかに駆け出していきます。


私と「ラリベリュ―ル」の物語

出会いは仕事でした。
私が担当していたテナント兼住居の共同住宅に、和食割烹の居抜きで入られるというお申し込み。
東京・青山の名店で修行を積まれたシェフ。ソムリエの奥様。地元での独立。
背景を伺った瞬間、私は“この店は伸びる”と直感しました。

一年ぶりの再訪は、異動のご挨拶を兼ねて。
気づけば所有者も変わり、私の職場の管理からも外れていました。
だからこそ、これからはただ一人の客として、純粋に“好き”を確かめに行ける
それが、嬉しいのです。


──非日常の感動に、確かな保証を。

気軽な価格帯ではありません。けれど、ここには丁寧な手仕事誇り高い味、そして心を解くもてなしがあります。
ワインを愛する友と、あるいは自分への節目のご褒美に。
栗東・手原の小宇宙「ラリベリュ―ル」で、静かに心が躍るランチをぜひ体験してください。


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金融リテラシーで考えるカーライフ──トヨタプリウス2.0 2023年製試乗

車は所有すべきか、それとも借りるべきか──
滋賀・草津でプリウスを借りた一日の記録


かつて「車を持つ」ことは、大人としての証明であり、家族の足でした。
しかし令和の今、私たちの前に静かに差し出される問いがあります。
──本当に、所有する必要があるのか。

その答えを探すために、私は休日の朝、トヨタレンタカー草津西口店のカウンターに立ちました。
9時から20時まで。保証と燃料代まで含めて14,224円。
鍵を受け取ったのは、最新世代のトヨタ・プリウス 2.0(2023年式/走行32,000km)。
この一日は、単なる移動ではなく、「所有」と「選択」を見直すための実験でした。


レンタルという合理──“固定費を可動化する”という戦略

まず胸に落ちたのは、コストの透明感です。
所有すれば、車検・保険・税金・駐車場代といった固定費が、容赦なく家計のベースを押し上げます。家計運営では「固定費を見直すことが年単位で効く」というのが定石。支出は定期的なもの(固定費)と臨時のものに分けて捉える──この原則に照らすと、クルマの“固定費の塊”は強烈です。レンタルはそれを“必要な時だけの変動費”に変換する手段だと、ハンドルを握りながら実感しました。

この日の14,224円には、燃料も各種保証もコミコミ。返却前にガソリンスタンドへ寄る時間も、レシート管理も要らない。限られた可処分所得を「今の価値」にまっすぐ投じられる。その思想は、実収入から税・社保を差し引いた後に残るお金(可処分所得)をどう配分するか、という家計管理の芯と響き合います。


プリウスが描く“静かな速さ”──移動は体験へ

革巻きステアリングに触れた瞬間、先入観は塗り替えられました。
2.0Lエンジン×モーターの統合は、静粛の中に確かなトルクを湛え、低重心が路面を吸い付くように押さえ込む。フロントのシャープな傾斜とタイトなリア。闘牛のスーパーカーを思わせるシルエットが、湖岸道路の鏡面に映る。

この日、私は220kmを走りました。静粛性、乗り心地、そして最新のレーダークルーズコントロールが、疲労を“雑音”のように消していく。移動は「消耗」ではなく、確かに「体験」へと姿を変えます。


「所有か、レンタルか」を“お金の言葉”で訳す

家計の言葉に置き換えるなら、所有は固定費の引き受け、レンタルは変動費の選択です。固定費は毎月のベースを押し上げ、可処分所得を恒常的に圧縮します。だからこそ家計の基本は、固定費を軽くすること。そして必要なときにだけ変動費として支出を起こすこと──レンタルはその設計に合致します。

さらに忘れてはならないのが税と保険です。税は私たちの暮らしを支える公共サービスの財源であり、その設計は“公平・中立・簡素”が望ましいとされる──自動車周辺の税も、その体系の中に位置づけられています。

保険について言えば、日常のリスクは“回避・損失制御・移転・保有”という順序で扱うのがリスク・マネジメントの基本。運転そのものは回避できないとしても、予防(損失制御)や保険での移転は設計できる。自動車では、自賠責でカバーできない部分を任意保険で補うという発想がそれに当たります。

つまり、「所有」は税・保険・維持を固定化する選択、「レンタル」は必要時だけに移転(レンタカー会社の包括保険・メンテ設計に乗る)する選択。あなたの収入・家族構成・ライフイベントの局面次第で、最適解は変わるのです。


私の現実、そして判断

わが家の自家用車は、妻の通勤に不可欠です。
その前提がある以上、ゼロ・カー生活は現実的ではない。
それでも、最新モデルを“必要な日だけ”借りるという選択肢は、所有という固定観念を大きく揺さぶりました。試乗の延長ではなく、実務的な運用として。

家計は「定期」と「臨時」で設計する。ボーナスのような臨時収入を当てにせず、臨時支出に備える。毎月の固定費はできる限り軽く。車は──必要な局面だけを切り出し、変動費として買う。その考え方は、封筒予算や家計アプリで支出を見える化する日々の習慣とも整合します。


結論──“数字”の先にある自由

「持つべきか、それとも借りるべきか。」
この問いに唯一の正解はありません。
けれど、金融リテラシーとは、まさにこうした分岐点で数字を言語にし、リスクを設計し、自分の未来に最適な配分を選ぶ力です。

所有は誇りであり、責任です。レンタルは自由であり、選択です。
滋賀の湖岸を滑ったプリウスの静かな速さは、私にこう囁きました。
──あなたの時間とお金を、もっと自由に設計していい。

その日、私は14,224円で“固定費”を“体験”に変えました。
そして、家計という名の企業のCFOとして、次の一手を静かに決算しました。

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宝くじは投資か浪費か──自動引き落としでtotoを買い続ける私の「弱さ」と設計

毎月、静かにスマホが震えます。
住信SBIネット銀行から、スポーツくじ(toto)1,100円の自動引き落とし通知。
数字に厳しい私が、毎月たった1,100円の希望にだけ、甘くなる瞬間です。

そして今日。ようやく届いた“初めて”の知らせ。
6等・540円。
笑ってしまうほど小さな勝利──けれど、胸の奥に灯った火は、確かに揺れました。


わたしの記録(2022年7月 → 2025年9月)

  • 方式:住信SBIネット銀行・毎月自動引き落とし(1,100円)

  • 実績:39回/総支出 42,900円

  • 当選:初の6等 540円

  • 損益:−42,360円

  • 回収率:約1.26%

数字は冷たい。けれど、誠実です。
“投資”を名乗るには、長期の期待値がプラスであることが最低条件。一方で金融商品の世界では、「商品ごとにリスクとリターンが存在し、必ずもうかる投資はない。内容・リスク・リターンを理解せずに買うべきではない」と基本中の基本が語られます。

この原則を鏡に映すと、期待値が100%を下回るくじは、長期ではマイナスに収れんする──やはり“投資”ではありません。


それでも人は、買ってしまう── 行動の力学

  • “自動”の魔力:手を汚さずに支出できると、人は継続を正当化します。自動引き落としは、快楽と罪悪感の摩擦を消します。

  • 近接効果:かすった体験が、次回購入の言い訳になります。

  • 楽観バイアス:「自分なら起こるかもしれない」という静かな自惚れ。

  • 物語の力:当選後の人生設計を描いた瞬間、脳はすでに“報酬”を受け取っています。

  • 儀式性:習慣が“私らしさ”に織り込まれると、やめることは自己否定に近くなります。

私は知っています。これは浪費です。
それでも、小さな夢にすがる弱さが私の中に確かに息づいている──その事実から、もう逃げません。


夢を消さずに、枠で飼いならす ──家計は“ガバナンス”

金融リテラシーは禁欲ではありません。ルール設計とモニタリングです。家計は企業経営。まずは“可処分所得(手取り)”の中でルールを決めること。給与から税金・社会保険料が天引きされ、口座に落ちるのは“使える原資”に過ぎません。

5つの運用規律

  1. 用途を“娯楽費”に固定
    可処分所得の1%以内を上限。超えた月は自動停止へ。家計は固定費・変動費・娯楽費に色分けし、“封筒予算(バケット)”で見える化します。

  2. ミラー投資
    くじ1,100円と同額をインデックス積立へ自動振替。夢と現実を同時に前進させる“二重仕向け”。(投資は自ら内容とリスクを理解して選ぶ──この原則だけは外しません。)

  3. 当選金の使途を“前ルール化”
    100%を教育・体験に。モノではなく“記憶”へ。判断の迷いを消し、家計の価値観に整合させます。

  4. 四半期決算
    「支出・当選・回収率」をQごとに可視化。臨時収入は頼りすぎない、臨時支出には備える──この家計原則で“言い訳”を数字で封じます。

  5. “勝たない遊び方”を設計
    抽選前に家族と“もしも”を語る。当選に依存しない幸福を対話で先に手に入れておく。社会は税や社会保険で支え合う設計になっている──私たちの娯楽もまた、社会のなかの一支出であると自覚します。


それでも投資は、現実の味方にできる

国はNISAやiDeCoを通じて長期の資産形成を後押ししています。ただし、商品内容・リスク・リターンを理解し、自分の言葉で「なぜそれを買うのか」を説明できる──そこからがスタートです。


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