未来家計譚

高卒 ✕ 地方会社員でもできたリアル家計管理術

2025年末までの美味なる記憶──草津「ロンロガレージ」で味わう肉とワインのドラマ

草津駅を近鉄百貨店側に出て、人の流れを横目に北へ徒歩7分。

ふと視界がひらけると、真新しいテナントビルがスタイリッシュに並ぶ一角が現れます。

その階段をそっと上がった2・3階。街の喧騒から少しだけ切り離された場所に、ひっそりと灯りをともす隠れ家「ロンロガレージ」があります。

ここは、自家製加工肉──シャルキュトリーを武器に、肉好きとワイン好きの心をわし掴みにしてきたお店です。

以前アラカルトで訪れた際、あまりに衝撃的で、「これはコースでもう一度向き合いたい」と強く思わされました。今回は、その“答え合わせ”のような気持ちで、念願のランチコースに挑みます。

 

ところが......。

公式インスタグラムには、店主の独立による「閉店予告」というまさかの一文が。

今の「ロンロガレージ」を味わえるのは、2025年12月末までというタイムリミットが刻まれていました。

寂しさと同時に、来年には同じ草津駅最寄りでカジュアルフレンチとして再出発されるという、前向きな宣言も伺えました。

“この味とは、必ずどこかでまた再会できる”──そう思うと、今回のランチは「別れ」と「再会」のプロローグが同居する、特別な時間になりました。

 

予約は電話、もしくは公式インスタグラムのDMから。特にランチは1人営業されているので、予約が必要です。

昼下がりから堂々とワインを楽しめるランチコースが用意されているのも、大人のご褒美時間としては嬉しいところです。

今回は、デザートとパンを含め全7品の「シェフのおまかせコース税込4,950円」の中から、特に「心を鷲掴みにされた3品」をご紹介します。

 

1.自家製加工肉盛合せ

 

──一皿の上で、五つの物語が同時に始まる

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この店の真骨頂ともいえる自家製加工肉の盛合せです。

5種それぞれがまるでキャラクターの異なる登場人物のようで、一口ごとにシーンが切り替わっていきます。

そのまま味わうと、素材の力と技術の精度がダイレクトに伝わり、カラシを添えると香りと輪郭が一段と立ち上がる。

そこにワインを重ねると、モノクロだった世界が一気にフルカラーへと変わっていくような感覚になります。

特に印象に残ったのがパテ。

しっかりとした肉の密度感と、口に入れた瞬間にほどけていくような口溶けのコントラストが見事で、「これが自家製の本気なのか」と思わず唸ってしまいました。

その存在感はすでにメイン級です。

 

2.椎葉牛モモ肉のステーキ バジルマッシュルーム添え

 

──ブランドではなく、哲学で選ぶ一枚

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肉料理の主役として登場したのは、あえて近江牛ではなく「椎葉牛」のモモ肉。

店主いわく、「有名だからではなく、自分が本当に“美味しい”と思う肉を出したい」とのこと。

その言葉どおり、皿の上にはブランド名に頼らない“意思ある一枚”が横たわっていました。

分厚く切り出されたステーキは、フォークを入れた瞬間に火入れの良さが伝わってきます。

中心までじんわりと熱が通っていながら、繊維はほろりとほどける。

噛み締めるたびに旨みがじわっと広がり、脂で押してくるのではなく、「赤身の力」で勝負している印象です。

脂身は控えめでありながら、満足感はしっかり。

食後に重さが残らず、むしろもう一口を欲してしまう──そんな“理性的な贅沢”を感じるステーキでした。

 

3.モンサンミッシェル産ムール貝のワイン蒸し

 

──一杯のスープが、旅の記憶を呼び覚ます

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フランス・モンサンミッシェル産の小ぶりなムール貝を、パセリと白ワインだけで蒸し上げた一皿。

余計なものをそぎ落としたレシピだからこそ、素材に対する信頼と自信が伝わってきます。

口に含むと、サイズ以上の旨みが押し寄せてきます。

ミネラル感と貝の出汁が凝縮されたスープは、最初はやや塩味が強く感じられましたが、水をふたさじ加えると一気に味の輪郭が整い、そこからはもう止まりません。

気がつけば、スープは一滴残らず飲み干していました。

まるで、旅先のビストロで“偶然出会った一杯”のような、記憶に残るワイン蒸しです。

 

お肉とワインが好きなら、「今」のうちに

 

お肉とワインが好きな方であれば、「ロンロガレージ」は一度は訪れてみていただきたいお店です。

特にシャルキュトリーは、見た目こそシンプルで派手さはありませんが、一口かじるたびに「地味さ」と「凄み」が反転します。

その奥行きのある旨みに、自分の味覚が試されているような感覚さえ覚えます。

こちらのお店で出会ったスペイン産ワイン、

「オクステ ザ サイレンス レッド ブレンド」とのペアリングは、個人的に忘れがたい体験でした。

グラスを傾けるたびに、シャルキュトリーの表情が変わり、ワイン側のニュアンスもまた少しずつ姿を変えていく──まさに“対話するペアリング”です。

この品揃え、このクオリティ、この世界観でシャルキュトリー盛合せを提供できるのは、「ロンロガレージ」だけだと店主は語ります。

2025年12月末までという限られた時間の中で、この“物語のワンシーン”に立ち会えるかどうかは、私たち次第です。

ワインと肉をこよなく愛する方へ。

ぜひ一度、階段を上がって、この隠れ家の扉を開けてみてください。

きっと、グラスと一皿の向こう側に、小さな感動と忘れがたい余韻が待っています。

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「リボ200万円からの脱出」──手数料地獄を断ち切り、複利を味方にするまでの話

気がつけば、私の未来が、静かに金利に切り売りされていました。

分割払いやリボ払いという「後払いシステム」は、一見すると家計の負担を和らげてくれるスマートな仕組みに見えます。
しかしその実態は、ショッピングの予算感覚をじわじわと狂わせていく、かなり中毒性の高い“魔法”です。

 

リボ200万円に気づいた夜

きっかけは、何気なく申し込んだポイントキャンペーンでした。
「今ならポイント◯倍」「リボ設定でさらにおトク」──よくある案内に背中を押されるように、深く考えずリボ払いを設定してしまったのです。

しかも追い打ちをかけたのが、
「毎月の支払い10万円」という設定でした。

生活はそれなりに安定していました。
そしてリボ設定の事は忘れ、順調な仕事、家族との時間もある。だからこそ、カードの利用額が少し増えても支払い額が変わっていない事に「まあ、大丈夫だろう」と気にとめませんでした。

しかし、ある晩ふとWEB明細を開き、目を疑いました。

> リボ残高 約200万円。

 

その瞬間、背中に冷たいものが走りました。
「ちゃんと払っているつもりだったのに、元本が膨らんでいる」
毎月の支払いの中に紛れ込んだ“手数料”という名のコストと無関心が、静かに積み上がっていたのです。

 

家計の「見える化」から、夫婦のチーム戦へ

そこから、ようやく本気の家計再建が始まりました。

まず着手したのは、マネーフォワードによる支出の“見える化”です。
家賃、通信費、保険料といった固定費。
食費、日用品、外食、レジャーといった変動費。

一つひとつカテゴリーに落とし込み、「何に、いくら、なぜ使っているのか」を徹底的に洗い出しました。

このプロセスに、妻にも参加してもらいました。
「節約しよう」ではなく、
「どんなことにお金を使いたいか」「何を優先したいか」を、夫婦で共有する時間に変えていきました。

・使っていないサブスクの解約
・スマホ料金プランの見直し
・“なんとなく外食”を減らし、“選んだ外食”に切り替える

そんな小さな一手を積み重ねた結果、
家計は少しずつ引き締まり、毎月の支出は20万円を切る水準までコントロールできるようになりました。

数字が変わり始めると、気持ちも変わります。
「お金に流される側」から、「お金を選ぶ側」に、少しだけポジションを取り戻した感覚がありました。

 

保険見直しと、リボ完済というターニングポイント

次の勝負どころは、保険の見直しでした。

長年払い続けてきた「60歳払込」の貯蓄型生命保険。
これを、掛捨て型の就業不能保障保険へ切り替えるタイミングが来ました。

解約に伴い、まとまった返戻金が発生します。
このお金をどう使うか──ここで、僕は一つの決断をしました。

> 「この返戻金で、リボ残高をすべて完済する」

 

貯蓄の一部を手放す決断ではありましたが、
“高コストな負債”を消すことが、家計のリターンを最大化する近道だと考えたからです。

振り込んだあと、カードのリボ残高が「0円」と表示された画面を見たとき。
静かですが、確かな達成感がありました。
毎月の明細を見るたびに感じていた、あの重たいモヤモヤが、すっと消え去った瞬間でした。

 

思い通りにいかない現実も、人生の一部

ただ、物事はいつもきれいに進むわけではありません。

当初加入を予定していた通常の就業不能保障保険は、持病の影響で審査が非承認となりました。
代わりに選ぶことになったのは、保険料が約3倍に跳ね上がる「緩和型」の商品です。

家計の負担は増えます。
しかし一方で、「もしもの時に家族を守る」という視点で考えたとき、ここは引くべきではないラインでもありました。

コロナ後遺症が完全に落ち着けば、
改めて通常の保険への切り替えに再チャレンジするつもりです。

健康を取り戻すことは、もはや単なる“体調”の問題ではありません。
家計、保障、将来設計──そのすべてを整えるための、重要なピースだと痛感しています。
仕事以外にも、「治療に向き合う理由」がはっきりと一つ増えた感覚です。

 

手数料を払う側から、利息を受け取る側へ

これからは、
リボ手数料や分割手数料といった「見えないコスト」を積み上げるのではなく、
金融資産から生まれる利息を“複利”で積み上げる側に回りたいと思っています。

私の目標は、
本業で培ってきた賃貸不動産の知見を生かし、
いずれ自分自身の不動産投資へとつなげていくことです。

そのためにも、まずは足元の家計を盤石にすること。
・使うお金
・守るお金
・増やすお金

この3つのバランスを意識しながら、計画的に資産形成を進めていきたいと考えています。

 

ここが「終わり」ではなく、「始まり」

リボを完済した今、ようやくスタートラインに立てた感覚があります。

借金を返し終えたから終わり、ではなく、
“これからどう生きるか”を設計し直すフェーズに入ったのだと思います。

家計管理は、我慢の連続ではなく、
「自分と家族の価値観にお金をフィットさせていく作業」です。

数字と冷静に向き合いながら、
ときには家族と真剣に話し合い、
一歩ずつ、着実に。

ここから先は、
分割手数料ではなく「複利のチカラ」を味方に付けて、
本業である不動産の世界ともリンクさせながら、
自分たちなりの資産形成ストーリーを紡いでいきたいと思います。 

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JCB Lounge 京都レビュー2025年12月──京都駅直結の大人の隠れ家ラウンジ

インバウンドと紅葉シーズンの観光客でごった返す京都駅。
人の波、スーツケースの音、外国語が飛び交うコンコース。その喧騒を背に、私はひとつ深呼吸をして歩き出します。

仕事で京都駅近くのミッションを無事に終えたあと、私が向かう場所はいつも決まっています。
──「JCB Lounge 京都」。

ここは、ただの休憩スペースではありません。
ビジネスと旅、日常と非日常が静かに交差する、大人のための“スイッチングポイント”です。

今回は、この「JCB Lounge 京都」の利用体験をお伝えします。

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1.利用条件 ― ラウンジの扉を開く“鍵”

まずこの空間に足を踏み入れるためには、JCBゴールド・ザ・プレミア以上のクレジットカード。
これが、ラウンジの扉を開くための“鍵”です。

家族会員も同じように利用ができ、会員1名につき同伴者1名まで入場可能
大切なパートナーや家族と、京都駅の喧騒を離れて静かな時間を共有することもできます。

私が保有しているのは「JCBザ・クラス」。
家族カードの発行が無料のため、夫婦それぞれがカードを持ち、家族にとっても使い勝手の良い“拠点”になっています。

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2.ラウンジまでの道のり ― レッドカーペットが導く静寂

京都駅中央改札を出て、右手へと歩を進めます。
しばらくすると、視界に飛び込んでくるのは、劇場へと続くレッドカーペットのような赤い床

その赤い床は、まるで「ここから先は物語の舞台です」と告げるかのように、
京都劇場と「JCB Lounge 京都」へと続く2階フロアへ、私たちを静かに誘います。

赤い床をなぞるように歩いていくと、やがて階段とエスカレーターに到着します。

ラウンジの利用時間は10時〜18時
扉を開くと、柔らかな照明に包まれた空間の奥に、サービスカウンターが見えます。
受付にはスタッフが2名。笑顔と落ち着いた声で迎え入れてくれます。

ここでJCBカードを提示し、
無料ではありながらも、決済端末にカードを通してレシートを受け取リます。
“お金は動かないけれど、ステータスが機能している”ことを実感する瞬間です。もちろん、メタルカードでも入場出来ます。

11月末のこの日は、ちょうど劇団四季「赤毛のアン」終演直後
劇場帰りのお客さまと時間帯が重なり、ラウンジはかなりの混雑でしたが、
それでもどこか上品な空気感が保たれているのが印象的でした。

利用時間は1時間
それは、慌ただしい一日の中に、意図的につくる「余白」のような時間です。

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3.ラウンジでのひととき ― 1時間で、心をチューニングする

ラウンジ内はおおよそ20席ほど
1人用、2人用のテーブル席が整然と並び、ビジネスパーソンも観光客も、それぞれの“静かな時間”を過ごしています。

館内には、

  • 京都のガイドブック

  • 無料Wi-Fi

  • ソフトドリンクサービス

といった基本装備が整っています。トイレはラウンジ内には無く、ラウンジ入口奥にある駅ビルの施設を利用します。

ドリンクはワンドリンク制限なし
ホットドリンクはセルフで、冷たいドリンクは受付の方にお願いすると、席まで運んでいただけます。

さらに嬉しいのは、手荷物の一時預かりサービス
スーツケースや大きな荷物を預けて、
「身軽な自分」で京都の街や劇場に出ていける。
それだけで、行動の選択肢が一段広がります。

この日は、座り心地の良いソファーに深く腰を下ろし、カフェモカを味わいゆっくりと深呼吸。

耳を澄ませば、
控えめな音量で流れるBGM、
受付スタッフの落ち着いた声。

少し狭さはあるものの、外の喧騒とのコントラストが、心の静けさを際立たせてくれます。

ふと視線を落とし、スケジュール帳を眺めながら、今日こなしたタスク、これから向かう現場、
そして、次の一手をゆっくり整理していきます。

ただ座っているだけなのに、思考が整っていく。
それが、このラウンジの一番の価値かもしれません。

1時間の利用を終え、席を立つときには、
来たときよりも、少しだけ姿勢が伸びている自分に気づきます。

心と体をリセットし、
再び仕事のフィールドへと戻っていく──。

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京都駅という巨大ターミナルの中で、
「JCB Lounge 京都」は、知る人だけが使える大人の避難場所のような存在です。

単なる“無料サービス”としてではなく、
自分の一日のクオリティを一段引き上げるための、ラグジュアリーな投資先として、これからも賢く活用していきたいです。

2025年12月5日再訪

コスパ以上の美徳。bistro gucchoで味わう全7品の余韻

二種電気工事士の学科試験を終えた夕暮れ。
脳のすべてを燃やし尽くしたあとの静寂に、私はフレンチの一皿でねぎらうことにしていました。
選んだ舞台は、石山駅から徒歩5分──洗練と実直が同居する「bistro guccho(ビストロ グッチョ)」です。

予約はホットペッパーグルメからすぐに完了します。フォーム上では余裕があるように見えましたが、当日は瞬く間に満席に。確実に出会うために、事前予約をおすすめします。

扉をくぐった瞬間、空気の粒子が変わります。
男性ひとりでは一瞬ためらうほどお洒落な空間──しかし、その緊張感は、置かれた器、選び抜かれたカトラリー、照明の角度に宿る「誠実な仕事ぶり」によって、すぐに安心へと変わっていきます。ここでは見栄ではなく、質が会話の主役になります。

今回はDinner Course 税込4,400円。コースは全7品(デザート込)+パン、食後に珈琲または紅茶です。
そして食事を終えての結論はシンプルです。

「安すぎる」

──この価格に、手間と精度、そして余韻が過不足なく詰まっています。しかもランチコースは2,480円~。人気の理由は、説明ではなく体験が語ってくれます。

ここに派手な食材のマジックや変化はありません。
けれど、素直な一皿一皿は温度管理まで芯が通り、香りは静かに立ち、盛り付けはインテリアと響き合う。余白の美学が、素材の輪郭をくっきりと浮かび上がらせます。ナチュラルワインを合わせれば、会話が自然と深度を増し、時間の流れがゆっくりと上質に変わっていきます。

近隣の方なら、まずはランチからの“昼飲み”で軽やかに。夜はアラカルトで“ちょい飲み”も楽しめます。

試験後の緊張を解きほぐす夜にも、日常を一段引き上げる午後にも、この店は静かな確信で寄り添ってくれます。
「頑張った自分に、丁寧なご褒美を。」──ビストロ グッチョで、その言葉に説得力を宿せます。


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季節は静かに熟す。名店「行楽庵」で凛の時間

打ち水で潤んだ石畳を踏みしめ、静謐な玄関をくぐる瞬間、景色は音を失います。滋賀でも稀少な食べログBronzeの名店「行楽庵」。胸の鼓動をひとつ整え、ランチコース7,000円に身を委ねました。

予約は電話のみです。定休は火曜日。女将さんによれば、水曜日は市場が休みのため食材の構成が変わることがあるそうです。お支払いは現金のみで、クレジットカードなどのキャッシュレス決済は対応していませんのでご注意ください。

窓辺に整然と並ぶ3卓のテーブル。奥には座敷も控え、秋晴れの光がやわらかく器の縁をなでていきます。客席は私たちと、もう一組の女性お二人。供されるタイミングまで呼吸を合わせたかのように、空間全体が一つの所作として完結していきます。
この日のコースはデザートを含め全十品。過剰な演出はなく、丁寧という言葉の本質だけが静かに積み重なっていきました。

 

三皿、心に刻まれた余韻

 

鴨と冬瓜の炊き合わせ


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端正な出汁が冬瓜の芯まで染み渡り、鴨は噛むほどに旨みの輪郭を深めます。過不足のない温度、力みのない余白。静けさの中で味わいが澄み、心まで清められるように感じました。

 

鮎の塩焼き


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骨までやわらかく、頭からがぶりといけます。子持ちの旨みがふっと広がり、旬の終わりが持つわずかな翳りまで、確かな滋味として舌に残ります。季節の句読点を、火入れと塩だけで描き切る一皿です。

 

とろろご飯と漬物


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香り高いとろろの流れに、自家製と思われる漬物が小気味よい拍子を刻みます。とりわけ奈良漬けは記憶を更新する一本。甘みと発酵の香りが美しく立ち上がり、食後の余韻を上質に締めくくってくれます。

 

学びという余白──盃を置いて味に向き合うということ

私は普段、料理と酒のペアリングまで含めて食体験を完結させます。この日はあえて盃を置き、BGMと張りつめた空気の中で、料理そのものの声に耳を澄ませました。酔いに頼らず味を最後まで受け止め切る難しさと、まだ私に残る経験の浅さを静かに知る時間となりました。
それでも、十皿は一皿ずつ誠実で、温かみがあり、食後は腹八分の軽やかさが体に心地よく残ります。「良いものを、ちょうど良く」。その感覚が翌日のコンディションまで整えてくれるように感じました。

季節は音を立てずに移ろいます。器に落ちる光と出汁の余韻、その静かな高揚を、次は人生の成熟とともに味わいたいと思います。


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ワインが進む創作中華──ビストロチャイナ蜜柑レビュー

2026.1.8再訪

新年。
暦が一枚めくられただけで、街の空気が少しだけ澄んで見える夜があります。
そして私たちは、そんな夜に「何を口にするか」で、その年の自分の輪郭を決めてしまう。

私が新年の始まりに選んだのは、約束の場所——ビストロチャイナ 「蜜柑」
冷え切った心と体を、開店の 17時30分 から熱い中華で叩き起こします。
今夜は 11,000円(税込)のコース。(デザートを含む全11品)
その中から、私の心を真正面から撃ち抜いた“三皿”だけを、今ここで記録します。

1.サロマ湖生牡蠣 四川風甘辛炒め

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サクッ、と。
その音は、冬の静寂を割る小さな雷鳴でした。

香ばしく揚げられた牡蠣フライに、甘酢餡がとろりと絡む。
生臭さは一切なく、残るのは牡蠣の旨みだけ。
揚げ物でありながら、後味は軽やかで——むしろ次の一皿へと心を走らせる。

「ここは、ただの中華ではない」
店がそう囁いた気がしました。

2. 近江牛もも肉 チンジャオロース

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分厚めに切られた 近江牛モモ肉
噛めば、肉の熱と脂の甘みが押し寄せる。
青椒肉絲という名の枠を、軽々と越えてくる“主役級”の存在感です。

濃厚で、艶がある。
この一品は、白米ではなく 赤ワインに手を伸ばさせる。
気づけばグラスが減っているのではなく、
“減らされている”——そんな設計の巧みさを感じました。

3. 北海道白子入り 麻婆豆腐 土鍋仕立て

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追加料金で 白子入りに変更。
コースには おこわが小鉢で寄り添います。

濃厚な麻婆に、ナッツの香りが立つラー油を少し多めに。
白子とともに頬張った瞬間、辛味は単なる刺激ではなく、
旨みの層を剥がす“鍵”になりました。

辛いだけじゃない。
複雑で、艶やかで、深い。
やはりここが、この店の“最終兵器”。
静かに、しかし確実に、記憶を支配してきます。

そして、ふと思い出すのです。
ビストロという言葉がフランス語由来であることを。

蜜柑の料理は、全体がどこか ワインと共犯関係にある。
風味が強いぶん、軽い白や赤では受け止めきれない。
だからこそ、一本の選択にドラマが生まれる。

中華でワインペアリング。
かつては“意外性”だったはずの楽しみ方が、ここでは“必然”に変わります。
ワインの種類も豊富な蜜柑だからこそ、成立する世界。

そして今夜、私は出会ってしまった。
「ドメーヌ ブレル  ファン ピノ グリ」

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香りはやや甘く、華やかで。
味わいはどっしりと骨太。
白ワインで初めて、「これは自分の定番になる」と思えた一本でした。

この満足感は、他ジャンルの店では代替できません。
料理が美味しいだけではなく、
“夜そのものの質”が上がっていく感覚。

コースで確信し、次はアラカルトで確信を深めたくなる。
蜜柑は、そんなふうに人をリピートへ導く店でした。

 


 

草津駅から徒歩5分。ネオンの揺れる長屋の路地に、リフォームされて名を掲げない扉がひとつあります。店内を確かめる窓もありません。必要がないのでしょう。選ぶのは、店ではなく、扉の前に立つ私たちです──「ビストロチャイナ蜜柑」。

こちらは、中華の骨格に高級和食材の知性を重ねる創作中華です。初訪問の今夜は、アラカルトで挑みます。
予約はホームページの専用フォームから。人気ゆえ、二週間先まで埋まることもしばしばです。同行者と予定をすり合わせ、その時を静かに待ちました。

当日、電車遅延。まさかの遅刻です。お詫びとして、相方に“好きな三品”の選択権を託しました。この決断が、夜の流れを変えます。

今宵は、つき出しを含む全7品の中から、心を射抜いた三皿をご紹介します。

1. つき出し5種

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視覚の予測を軽やかに裏切る五重奏です。香りの立ち上がり、食感のスイッチング──一口ごとに風景が切り替わります。ふと視線を上げると、先客はワイングラスを傾け、奥にはワインセラーが静かに呼吸をしています。名のとおり“ビストロチャイナ”の幕が上がりました。

2. 近江牛シャトーブリアン 松茸 オイスターソース炒め

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繊細で芳醇な近江牛に、松茸の香がふわりと重なります。極太もやしの力強い食感がリズムを刻み、一口で景色が明るくなるような幸福が訪れます。贅沢でありながら、どこまでも端正。満足の天井を静かに押し上げる一皿です。

3. 北海道白子入り 麻婆豆腐 土鍋仕立て

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ジューシーな挽き肉、上品に痺れる辛味。その骨格に、白子が低音のコクと余韻を与えます。麻婆の輪郭を崩さず、旨味の層だけを一段深く。土鍋の熱は終盤まで勢いを保ち、最後の一匙まで“もっと”を誘います。これは、確実にリピートしたい名作です。

カウンターの向こうでは店主が一人、中華鍋を振り続けます。無駄のない所作、立ちのぼる香り、金属が奏でるリズム。時刻は関係を失い、ただ料理だけが進行します。
やがて、お店の外まで見送ってくださる店主に「次回はコースで伺います」──そう確信を胸にお伝えしました。

扉が閉まったあとも、熱と香り、そして約束だけが静かに残ります。

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秋晴れに映える「ザ・リッツ・カールトン京都」──静謐と余白を味わう、ラ・ロカンダのコースランチ

秋晴れの光が磨き上げたガラスに反射し、鴨川の静けさがそのままホテルの空気に溶け込んでいました。重厚でモダンな佇まいは、どこか張りつめた緊張感をまといます。しかし、そのハードルを越えた先には、日常がすっと遠のく“静謐”が待っています。

私がこの優美な空間に足を運べるのは、マリオット ボンヴォイ アメックス プレミアムカードを携え、ポイントという大義名分を得ているからです。過去には利用人生初のアフタヌーンティー、そしてジャズの生演奏に包まれたバー体験──どれも時間の密度を上げてくれる記憶になりました。

今回は、館内のイタリアン「ラ・ロカンダ」でコースランチのレビューをご紹介します。

予約は専用サイトからスムーズに手配できます。通常ランチコース「Bronzo」税込6,500円のところ、今回はオンライン予約限定で税込4,950円(平日限定)という嬉しいオファーでした。

ロビーラウンジを抜け、窓沿いの通路を進むと、静かに熱を帯びるダイニングへ。名前を告げると、バーと同じフロアの奥まったテーブルへ案内されます。薄暗がりの中、卓上だけがふわりと光を帯び、心が食事のモードに切り替わります。視線の先には、明治41年築・藤田伝三郎男爵の京都別邸「夷川邸(やかわてい)」の個室を移築した特別席。外資ホテルの洗練に、雅な“和”を呼び込む演出が見事です。

コースは、お茶菓子を含む全7品に、食後のコーヒーまたは紅茶が付きます。なかでも印象に残った3品をご紹介します。

1. 鮮魚のタルタル 黒米のサラダ 海藻ビネガー

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皿一面が小さな景色のように美しく、思わず見入ってしまいます。きりりと効いた酸味が鯛の甘みを引き立て、海藻ビネガーのミネラル感が余韻を伸ばします。

2. 十勝ハーブ牛の炭火焼き 芋のヴァリエーション セロリと柑橘のソース

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+税込3,850円で豚ローストからアップグレード。火入れは上品なレア。繊維がほろりと解け、炭の香りが旨味を包み込みます。芋の多彩な表現がテクスチャーに奥行きを与え、セロリと柑橘のソースが全体を軽やかにまとめます。

3. ホワイトコーヒームースとジェラート カカオチップス 熟成バルサミコ

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香り高いコーヒームースの甘やかさに、カカオのほろ苦さ、熟成バルサミコの酸味が重なり、立体的な満足感をもたらします。デザートで“会話”が完結する、そんな印象です。

今回、マリオットのポイントは普段JALマイルからWAONへ変換して生活費に充当していますが、この日は温存していたポイントを投じ、実質無料で食事を楽しみました。高級ホテルの空間とサービスは、非日常へと心をワープさせ、明日へのエネルギーを静かに満たしてくれます。

実は、クレジットカードは2026年5月で解約、各種引き落としの切り替えは2026年からと決めていました。しかし、この体験に触れると、決意が少し揺らぎます。──ラグジュアリーは“浪費”ではなく、人生の解像度を上げる“投資”にもなり得る。そう確かめた一日でした。


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