連休の幕開けは、静かに降りしきる雨でした。
外に出る理由も、予定もない。
そんな日は、自宅で“録音”を愉しむに限る──そう決めました。
思えば、この習慣のきっかけはコロナ感染による自宅待機でした。
隔離された部屋の中、何をしようかと考え抜いた末、たどり着いたのはカラオケアプリ。
そこには、歌を録音し、世界へ放つ楽しみがありました。
届く感想の多くは、機械的な短文。
しかし、私が好んで歌うかなりマイナーな楽曲に、
誰かが耳を傾け、感想を寄せてくれた時──
それは、何にも代えがたい喜びです。
とはいえ、完璧に音程を外さない妻とは違い、
私には千回の聴き込みと歌い込みが必要です。
イヤホンマイクでは物足りなくなり、
本格的なマイク、スタンド、ミキサーまで揃えたものの、結局は屋根裏部屋で眠らせてしまっていました。
だが今日──雨音に背中を押され、その封印は解かれます。
マイクは再び日の光を浴び、私の声を拾い上げます。
ブレインフォグに悩まされても、歌い込んで覚えたメロディは、決して消えない。
やりたがる子供たちをやや強引にかわし、私はひたすら歌い続けました。
雨音と、自分の声だけが響く部屋で。
