未来家計譚

高卒 ✕ 地方会社員でもできたリアル家計管理術

不動産投資への道──自社仲介店舗訪問

不動産投資は“購入”で終わらず、“運用”で真価が問われれます。

賃貸管理を単なる維持作業ではなく、資産運用の戦略パートナーとして捉えることが、安定的かつ高水準のリターンを実現する近道です。
ここでは、15年以上のキャリアで賃貸管理に携わっている私が、空室対策実務のリアルをお伝えします。

 

静かに店舗裏の社員通路扉を開けた瞬間、そこには未来を担う若き営業スタッフの姿がありました。
私が積み重ねてきた年月の、半分にも満たないキャリア。
「娘の方が年齢は近いかもしれない」——そんな思いが頭をよぎりながらも、彼女たちの真摯な眼差しに、私は次第に引き込まれていきました。

今回の目的はただ一つ。
——長期空室をいかに成約へとつなげるか。

多忙を極める管理担当に代わり、1時間にわたる濃密な議論が始まります。
やがて浮かび上がったのは厳然たる現実。
反響を生む物件と、成約へ至る物件。
そして、それらと比較したときに「何のアドバンテージもない長期空室は、紹介こそされても決まることはない」という冷徹な真実でした。

特に、この街で求められる条件は残酷なほど明確です。
駅徒歩20分を超える部屋は、需要の薄さゆえに沈黙を余儀なくされます。
一方で、大学生需要は秋から動き出し、年明けから3月にかけて爆発的に高まります。
そう、いま私たちが立っているのは、静まり返った「閑散期」という谷底なのです。

だからこそ必要なのは、攻めの一手です。
店舗キャンペーンの仕掛け、他社の動向や報酬体系との比較、そして自社物件にしかない価値の再構築。
それらを武器に、この谷を越えなければなりません。

濃密な1時間が過ぎ、最後に「次回はスイーツをお土産に」と約束して店を後にしました。
しかし、事務所に戻る頃には、脳は霧に包まれたように疲弊し、言葉すら霞んでいきます。
それでも私は録音データをNottaで文字化し、要約を仕上げ、上司に報告しました。

「具体性が足りない」「言い回しが曖昧だ」
冷ややかな指摘が突き刺さります。しかし、それは敗北ではなく、次への燃料でした。

いま必要なのは、管理担当が本当に欲している「物件ごとの具体的な戦略」——その視点を胸に、次回の自社店舗ヒアリングへと挑む覚悟を新たにします。

かつて管理担当だった頃、これほど腰を据えて議論を重ねたことがあったでしょうか。
疲労と達成感が入り混じるなか、私は確信しました。

——入居率向上への道は、確かに今ここから拓かれている。
そして私は、また一歩、その未来へと踏み出したのです。

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