糖質を口にした瞬間から、私の脳は霞に覆われていきます。
血糖値の急上昇──それは誰にでも訪れる生理現象ですが、ブレインフォグを抱える私には、まるで電源が落ちるように思考が遮断されます。
その日のランチも、例外ではありませんでした。
仲間と笑い合い、美味しい料理に舌鼓を打ちながらも、私は心の奥底で「次に訪れる暗転」を予感していました。だからこそ、舞台を整えていたのです。
──会社所有の貸別荘。木の温もりを抱く2階建てのログハウスには、最大14人が宿泊できる空間が広がり、広々とした風呂は子供たちにも人気です。そこは、私にとって“避難所”であると同時に、“再生の場所”でした。
昼食後、私たちはコンビニで酒とつまみを買い込みます。そして道中で立ち寄る、私の人生における小さな宝──山あいから湧き出す清水を汲むために。
澄み渡るその水で淹れた珈琲を手に、二次会が幕を開けた瞬間、疲弊した身体に再びエネルギーが流れ込むのを感じました。
そして貸別荘はもう一つの顔を見せます。家族としか過ごしたことのない空間が、仲間と語り合うことでまるで別世界のように輝き始めます。音楽を流し、多様性の社会について思い思いの言葉を交わす。そこには肩書きも立場もなく、ただ“人”として向き合う時間でした。
やがて私たちは外へ。メタセコイア並木が私たちを待っていました。
高くまっすぐに伸びる樹々は、四季ごとに異なる表情を見せます。台風一過の青空の下、葉の香りに包まれながら、緑濃く残る並木道を進む。整然と並ぶ木々の揺らぎが、不思議なほど心を鎮めてくれました。
そしてマキノサニービーチへ。透き通る湖面に子どもたちの歓声が響き、涼やかな風が頬を撫でます。
解放感──それは単なる自然の美しさではなく、自分が生きていることを確かに実感させる、魂の再起動のような瞬間でした。
そして私たちは約束しました。
次回は貸別荘で昼から火を起こし、バーベキューで昼飲みを楽しもう、と。
金融リテラシーとは、単なる数字の管理ではありません。
守るべきは「通帳の残高」だけではなく、こうした“人生を豊かにする瞬間”そのものなのです。
──お金は道具にすぎない。
しかし、その使い方ひとつで、人生は霞みに沈むこともあれば、光に満ち溢れます。



